第590話

3日後、咲美愛に会いに行く。



今日は話してくれるかな?


不安で潰れてしまいそうだ。




咲美愛の病室から笑い声が聞こえる。




誰か来ているのだろう。


足をとめて帰ろうと引き返す。




やっぱり、わたしは情けない。


咲美愛は娘なのに怖がってしまってる。




10年間という時間はあまりにも


長すぎて、時間は戻らないと感じる。




もう、わたしはダメな母親だと思う。




中庭のベンチに座って考え込む。


もう泣いてしまいたくて。




咲美愛に合わせる顔がないんだ。




どうしたら、前みたいに話せるか?


なにを、話したらいいのか?




考えては、無理だと諦めてを繰り返す。


わたしは、本当にダメ人間だ。

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