第125話

あわただしく過ぎた葬式。



うまれた赤ちゃんのことなんて

誰も考える余裕がなかった。




告別式がおわり、美緒ちゃんの

元旦那や息子たちが帰った後、


みんな黙り込む。




恭吾は怒りと悔しさで壁を殴っている。




誰も止めようとはしない。


みんな、みんな悔しいのだから。





そして、裕貴くんが言う。



『こどもは僕と希美で育てます。

だからお願いがあります』




『これまでのことはどんなことがあっても

子どもに知られないようにしてください』



『僕も気をつけます、知った時

傷つくのは目に見えています』


『だから、お願いします。』




頭をさげて言う、裕貴くん。


わかっている。みんなわかってる。

知られるわけにはいかないんだ。



みんな、くやしいのは同じだ。


子どもから母親を奪って

しまったのだから。

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