第121話
夜、電話が鳴る。
再び破水して陣痛がはじまったと。
嫁さんを起こす。義母さん、義父さんを
起こす。用意して病院へ向かう。
ハンドルを持つ手が震える。
なぜだか、わからない。
どうしようもない恐怖がわく。
車内に会話は一切ない。
一応、恭吾に連絡をいれる。
あんなに頑なに拒んでいたのに
『俺も向かう、ありがとう』と言って
電話が切れた。
早く、早く、アクセルを強く踏む。
間に合え、間に合え。
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