第96話

side 拓望



咲美の目から涙が溢れ落ちる。

ポロポロポロポロ溢れる。


どうしたんだ。



俺は怖くなった。



10年後の七夕の日、その日に

なにか意味があるのか?


なにを、なにを隠してる?



咲美がわからない。わからない。





泣いてる、咲美の涙を拭う。


そして、抱き締めた。



こわい、こわい。消えそうで。

その姿が儚くてこわいんだ。




『えみ、えみ、えみ』


俺も泣く。男なのにダサい。

だけど涙がとまらなかった。



どうしようもない恐怖にかられる。





えみが遠い。遠いんだ。


こんなに近くにいるのに。




10年後の七夕の日


約束しよう。ここで会おうって。




恋人みたいな約束だけど俺らは

運命共同体。いつも一緒だ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る