第93話
波打ち際で遊んでる咲美。
おい、今日は寒いんだぞ。
なにを考えているんだ。
こないだ倒れたじゃないか。
もう体調はいいのか?
呆れる俺。
咲美が気付く。
『拓望〜〜!!』
満面の笑みだ。
寒い。寒いよ。風がつめたい。
『こんな寒い日に…』
『そう、言うと思ってた』
わかってるなら勘弁しろや。
風邪ひいたらどうするんだ。
『ここに来たかったの』
『いつでもこれるじゃん』
『拓望いそがしいじゃん』
『まぁ、確かに。』
咲美がしゃがみ波と遊ぶ。
『来てくれてありがとう。』
『もしかしたらきてくれないと思った』
いつもの咲美じゃない。
消えそうでなんだか怖い。
『4月から転校するから思い出が
ほしかったの。寒いの嫌いなのに
きてくれてありがとう。』
『おう』
『拓望、これあげる』
咲美が何かを投げる。
慌ててキャッチする。
『手作りのマスコット。
野球がんばってよね!!』
咲美がどうやら作ったらしい。
昔から裁縫好きだったからな。
『サンキュ』
『うん。』
波の音が響く。
静かな空間だ。
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