第43話

side 拓望



季節は11月の終わり。



夏休み以降なんだか様子が変な


咲美愛。変なのはわかるけどなんて


声をかけていいかわからない日が続く。




『なぁ、咲美』



俺は机に向かって勉強している

咲美に声をかける。


俺たちはいつも、一緒だった。



幼稚園も小学校も中学校も。


イタズラして怒られる日も

いつも一緒だった。



なんか変だ。最近大人しい。



『なぁ、咲美きいてんの?』



『な、なに?』


驚いたように振り返る咲美。

その目は泣いた後がわかる。



『なんかあったのか?』


『え、なんもないけど…』



『どうしたんだよ』



『だから、なんもないって』



変なんだよ。おまえ。

ずっと考える素振りして。



『なぁ、好きな人でもできた?』



『は、はあっ!?』



『え、違うのかよ。』


そうだと思ったんだけどなぁ。



『恋煩い?』


『だから、違うってば!!』



あ、当たってるんだな。

その反応は。大スクープだ。



『あの先輩か?いつも一緒の』



『先輩ちゃうわ!!』


ムキになっている咲美愛。

泣くほど好きなのか。


これは大変だ!!!!


知らせなくては。

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