第28話

1993年4月4日 午前3時20分


杉村美緒菜 享年47歳




産まれたばかりの子どもを

抱っこすることもなく

天国へと旅立った。




そして、通夜、葬儀は生前から

子どものことは言わないと頑なに

拒んでいたため、伏せて執り行われた。




美緒菜が亡くなったその日の朝

病院の前に植えてある桜の木の蕾が

花を咲かせようとしていた。



もう既に咲いている桜は

ヒラヒラと散っていった。




桜の花は赤ちゃんを連想させる。



儚く散る姿が美緒菜と赤ちゃんの


姿とかぶって見えて涙を流す。

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