第19話

side 美緒菜




手術室に入って1時間がたった。


泣き声をあげない赤ちゃんが

とりあげられたのだ。



不安になる。生きてるの?



ねぇ、なんか言ってよ?



どうして、赤ちゃん泣かないの?




すぐさま保育器へと入れられ

抱っこすることもなくNICUへと運ばれる。




赤ちゃん、私の赤ちゃん。




不安で涙がでてしまう。


ごめんね、赤ちゃん。




私なんかがお母さんでごめんね。



もっと丈夫に産んであげることが

できなくて、ごめんね。




この選択が果たしてよかったのか?



赤ちゃんは幸せになれるのか?



私は幸せにすることができるの?




(みんなの言う通り堕ろしておけば

よかったのかな?私は間違ってたの?)



(ストレスかけちゃってごめんね。)



(赤ちゃん元気に生きてね。)




なんだか身体が重たい。


目を閉じたくなってしまう。



周りが慌ただしくなるのがわかる。



ごめんね、少し寝かせて。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る