第17話

でも、そんな願いは届かなかった。


拓望が生まれたその夜、再び破水し

陣痛が始まってしまったのだ。



家族みんなに連絡がいく。


みんな大慌てで駆けつける。


入院している病院で働く

りゅうちゃんやりょうちゃんも

駆けつけた。



廊下をバタバタ走る音が夜の

病院に響きわたる。



(生まれるな、まだ早い、まだダメ

ダメなんだよ生まれてきちゃ)



(ごめん、ごめん。赤ちゃんごめん。)



(どうかたすけてください。)





崩れそうな思いをみんな抱いて

走る。病室へと急ぐ。



丁度、これから緊急帝王切開で

手術室に行こうとしていたとこだった。



『ごめんね、陣痛始まっちゃった。

赤ちゃん産んでくるね。いってきます』



涙目でそう言い手術室に向かった。




(無事に終わりますように。)



(元気にうまれてきますように。)



(2人とも助かりますように。)

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