溺愛の始まり。

第2話

side 朝妃



母の腕に抱かれた小さな子供。


以前、街中で見た時と同じ子?

じっくり顔を見たわけではなかった。


今、はじめて、顔を見る。

クリクリの二重でぱっちりとした大きな目。



「あはは、あはは…うける。」


「何、ウケるって何がよ。

妃愛の顔見て笑うって何事?」



「だって!だってさ……あはっ。

父さんそっくり!可哀想…いや、待って誤解。誤解だって………母さん。」


可哀想って言った途端、母に睨まれた。

ごめんって。父さん大好きな母さんは、父さんを貶したと思ったのかな。違うよ。



「父さんに似るのは、顔だけで……

性格は似ちゃダメ。絶対にダメ。

不器用マンの父さんに似たらさ、この子の将来は可哀想。」


「妃愛よ。朝妃、妃愛って名前。

兄弟共通の漢字に愛で、妃愛。」




ほお。父さんそっくりの女の子は

妃愛ひめかか。うん、可愛い。



名前も、顔も、可愛い。

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