第87話

妃愛:「だから――その、あの……」



言い出すのが恥ずかしいのか

目を逸らし、落ち着きがない妃愛。


だから――に、続く言葉が気になる。


悪いこと?いいこと?

何を言われるか、想像がつかないから

言うのを待つ、俺も親父も緊張。



妃愛:「…………ありがと……ひいくん。散々……心配ばかり、かけて……怒らせて………嬉しかったんだ。本当は。」


妃響:「………………うん。」



ツンデレの妃愛から

突然、ありがとうと言われ戸惑う、俺。



妃愛:「手術…前に、伝えないと…って思ってて。いつ、言おうか悩んでた。」


妃響:「うん。」


妃愛:「死にそうだった、私の手を掴んでくれて……引きずりあげてくれてありがとう。ひいくん、が居たから…見守ってくれたから、頑張ろうって。」


妃響:「うん。」



やられた、なあ。


妃愛の無謀な…自殺行為に何度も

悩んで、苦しんで……心が折れそうになって、妃愛に俺の想いは伝わらない。


そう、思うことも多くて……

悩む日が多かったな。

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