第86話

妃愛:「話したくないから……話さない……では、なくて……受け入れられるようになってきたから、言わないの。」



俺と親父を見て言う、妃愛。



" 受け入れられるように、なってきたから、言わない。"



まさか、妃愛がそう思っているとは……

ちょっと、予想外だ。

俺達に気を遣って、言わないと思ってた。



妃愛:「いつまでも、思い出に浸って、あっくんにしがみついて……ダメだと思ってた。ずっと…あっくんは、わたし……を置いていったと思ってたから。」


妃愛は妃愛なりに、自分で考えて

乗り越えようとしているんだな。


これからの人生を生きようとしている。



妃愛:「あっくんは、沢山の思い出…残してくれた。だからね、だから…私は…一番の供養は……わたしが幸せになること…今を生きること。」


妃響:「うん。」


妃愛:「わたし……には、あっくんだけじゃないから……家族……居るから。お父さんも、ひいくんも……居る。」



お父さん、ひいくんも居る。


そう言った妃愛は吹っ切れた顔をして

久々の笑顔を見せてくれた。



―――― 親父が泣いている。



俺も、泣くのを堪える。

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