第50話

娘は賢い。




誰かが手を貸したんだろうが…

優哉の命日にひとりで飛行機に乗り、優哉と美咲ちゃん、妻と住んでいた町に行ってしまった。




娘からの " サヨナラ "の合図みたいで

連れ戻しに行くことも、

連絡することも、怒ることも出来なかった。





" 嫌われることが怖かった "





心配した息子達は空港まで娘を迎えに行き家に帰ってきてくれた時は嬉しかったけど、同時に、" 私のパパは優哉 " だって言われているような気がした。






パパだった優哉を超えられない。





超えてはいけない。




娘はの中の家族はママと優哉夫婦で。




玖賀家は " ママの家族 " なんだろうなって思う。





兄弟にも、親にも、叔父叔母にも一線を引く娘との壁をどう取り払うか悩ましい日々が続いた。






距離が縮まらないまま娘は中学にあがり避けられるようになり深夜外出も増えるようになった。






同じ。結妃の時と同じ。




結妃も小学校を卒業する前から俺を避けるようになって、思春期が来たかくらいにしか思ってなかったけど、そのまま結妃は妊娠・結婚で家を出て行った。






俺の子育ては小学校卒業まで。






それ以降の女の子の子育ては未経験だ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る