第48話

―――……12年。




はじめて会った日から12年が経った。




当時4歳だった娘は今年の三月で17歳をむかえる。




再婚してすぐに判明した妻の病気はあっという間に全身を蝕んで呆気なく生命を奪っていった。





娘と出会って1年半弱。




親子になって半年弱。




妻は娘を置いて天国に旅立った。





未入籍だった俺たち。



妻が亡くなったことでひとりになった娘を俺は引き取り、正式な家族になった。

父娘の生活が始まった。





娘は母親を亡くした哀しみを俺はおろか、蒼哉にも朝妃にも、妃響にも…

年齢の近い煌妃、悠妃にも見せなかった。




優哉が亡くなった時も同じで。






ひとりで育ててきてくれた母親には協力してくれる人が必要ってことを理解していて、母親にも甘えることを禁じた。






自分自身で。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る