第36話

***




パパと一緒にお墓参りに行くという返事を保留して1週間。




例年なら命日より1週間早めてわたしは優くんと美咲ちゃんのお墓参りに行っていた。

命日はパパ達が行くからわたしは日にちをずらしていたけど今年はどうしよう?




命日まであと1週間もない。



例年ならわたしは荷物の準備をして玖賀家を旅立っていたけど

今年は兄達の厳しい監視とパパの寂しそうな姿が重なって「ひとりでいく」とは言えない状況。




「優くん、パパと来て欲しい?

なんか……ね、今だ。今家族にならなくてどうするんだって言われてる気がするの。ママも心配してるのかな……」




いつものように海。



お気に入りの場所でわたしは天国に居る優くんに話しかける。

幼い頃優くんに教えてもらった特別な場所。「妃愛の宝物の場所だよ。」って教えてもらってから、玖賀にきて何度もきてる定番の場所。




「優くん……は、パパ……パパがわたしのパパって思って欲しい?」





4歳までは、優くんがパパだった。




" パパの代わり " ではなくて、

代わりにならないくらい実の娘のように可愛がってくれて、私も懐いてた。




もうひとりのパパ……本当のパパ。




パパをパパって思って良いのだろうか。

それくらい、パパは……ママが亡くなってから時間をかけて向き合ってくれた。





「わからない―――……。

優くん嫌じゃない?パパの娘になること。わたしのパパ…は優くんだって思ってきたんだよ……」





同じくらいパパもわたしのパパになっている。






どうしたらいいのかな……わたしは。

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