第72話

朝妃が、家に帰ってこなくなって、

間もなくの出来事だった。



長年、大きな抗争や、問題もなく…


平和に暮らしてきた私たちに

大きな問題が起きてしまった。



" 玖賀の立場が、危ない―――…… "


梨絵ちゃん。俺は、梨絵ちゃんを愛してる。

梨絵ちゃんのことが、大切なんだ。



" 一時的。一時的…に、別れよう。


梨絵ちゃんを、守りたい。

梨絵ちゃんを、失いたくない。

2年か、3年……我慢して。そしたら、迎えに行くから……別れよう。



抵抗した。嫌だって言った。


別れたくない…って、泣きじゃくった。

史哉くんが、居ない人生は考えられない……と。



史哉くんの、意思は固かった。



玖賀を背負う、息子として。


私と、子供7人を抱える、父親として。

史哉くんは、私を突き放した。



別の、選択もあったと思うけど……



史哉くんは、離婚を選んだ。




優哉くん、私への……怒りだと思った。



そりゃそうだよね……。


例え、双子だとしても……

奥さんと、双子の兄が関係をもって

息子が生まれて………



自分の息子でないと、知ったら……




突き放されることは、当然のこと。



わたしは、受け入れた。


もう、玖賀に、帰ってくることはない。

史哉くん、息子達の成長を目に収め、離婚する日まで、笑って過ごした。

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