第45話
「ふっ、ううっ………行かなきゃ……」
時間は、守らないと……。
そう思って、必死に涙を止め……
震える足を、踏ん張り歩き出す。
いつか、妊娠して良かった……
生まれてくることはできなかったけど、
良かった…と思える日が来る事を、祈った。
「…………史哉くん……どうして……」
「いつもと、違うなって。
梨絵ちゃんは、嘘をつきたい時。
本音を押し殺すとき。
俺の目をみないんだよ?目逸らすの。」
「………………。」
「幼なじみだもん。気付いた。
梨絵ちゃん一人で抱えさせてごめん。
辛い思いさせてごめん。」
腰に、回された手が、
史哉くんの手が、震えていた。
声も、震えていた。
「……………ごめん、なさい……
心拍………心拍………。」
「うん。うん。辛かったね。」
「ウッ………史哉くんッッ……ごめ……
ごめんなさいッッ………ごめん………『梨絵ちゃん。大好きだよ。』」
久々に聞いた、" 大好き "
あ、違うか………。
再会したあの時―――……。
「梨絵ちゃん、愛してる。」
史哉くんは、言ってくれた。
聞かないフリをしたけど、
史哉くんは、言ってくれていた。
信じられなかったのは、わたし。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます