第30話

「蓮と樹月も弟だけど。可愛いんよ。

弟って特別可愛くて。俺は、貴也さんも、親父もどっちも父親だと思ってるし、

莉音と詩音も、可愛い弟と妹だと思ってるよ?」


「…………知らなかった………。」



既に、誠音という兄が居て。


20年振りの子供が僕達双子。

だから、憎まれたのだと。嫌いなのだと。

自分に言い聞かせてきた。



「誠音はさ、なんていうのかなあ。

可哀想って言ってしまえば、それで終わっちゃうんだろうけど。必死に育てたと思うよ?

乳児院に居たのだって、半年くらいだし、高校卒業したてで親になって。

父さんも母さんも、頑張ったと思うけどねえ。」


「………きらい、なんだよね……。」



誠音兄は、詩音を溺愛していた。


僕への暴力を見るまでは、詩音も懐いていたし

なんで…僕だけが?って思ってきた。


同性。弟だからって思ってきた。



「育てにくい子供だったんだよ、誠音は。

母さんも父さんも頑張ってきたけど、誠音が求めてきたものとは違ったって感じ。

父さんからも聞いてると思うけど、莉音は何も悪くない。

悪いのは、誠音と、父さんと母さんで。

莉音は被害者。悪くないんだよ。」



聞いてきた―――……聞いてきたけど。




僕は、僕を………許せないんだ。

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