金の玉を生むガチョウ

春野 一輝

一話 金の玉、危機一髪!

 むかしむかし、あるところに。

 ガチョウを飼っている二人の心優しいおじいさんとおばあさんがいた。

 二人には立派な黄金に光る玉を二つ付けたガチョウがいた。

 良いおじいさんと、おばあさんは、生き物を大事にしていたので、ガチョウからは卵だけ頂いて、金の二つの玉には触れたりはしなかった。

 ガチョウもそんなおじいさんとおばあさんが大好きで、毎日可愛がられて過ごしていた。


 ある日、隣の意地悪い爺さんとお婆さんがやってきて、自分の家でガチョウの卵が食べたいから、ガチョウを貸してほしいとお願いがやってきた。

 親切なおじいさんとおばあさんは、意地悪なおじいさんとおばあさんにガチョウを一日だけ貸してあげたのだった。


 しかし、意地の悪いおじいさんとおばあさんは、ガチョウをまな板に載せて捌こうとした。最初から、ガチョウについている金の玉をもぎ取るのが魂胆だったのだ!

 しかし、突如。ガチョウはどこかで聞いたような男の声で喋り始めた。

「君ってやつは、知らないのか。ガチョウの腹を裂いて金の玉を取り出そうとした物語を」

 そのガチョウの語り草に、おじいさんとおばあさんは度肝を抜かれた。

 その隙に、ガチョウは羽ばたいて、逃げたってわけさ。


 やれやれ。

 めでたし、めでたし。

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金の玉を生むガチョウ 春野 一輝 @harukazu

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