(第一段階)第6章
セレスティアが冒険者たちと旅を続ける中、次第に異世界の広大な景色に慣れ、仲間たちとも強い信頼関係を築いていた。しかし、旅が進むにつれて、彼女の心には一つの疑問が常に浮かんでいた——自分がなぜ国外追放されたのか、その理由を知ることなく、この異世界を漂っていることへの不安だ。
ある日、冒険者たちが休息を取っている時、彼らの一人、魔法使いのリウスがセレスティアに話しかけてきた。
「セレスティア、ずっと気になっていたんだが…君が国外追放された理由って、具体的に知っているのか?」
リウスの言葉は鋭かった。セレスティア自身、その問いに対する答えを持っていない。自分が王国から追放されたのは事実だが、何が原因だったのか、なぜ彼女がそのような立場に置かれたのかは全く知らされていなかった。
「…実は私もよく分からないの。でも、ただの誤解や陰謀だっていう感じはしているのよ」
セレスティアの言葉に、リウスは少し考え込む様子を見せた。
「俺の知り合いに、王国の内部情報を掴んでいる者がいる。もし、君が追放された理由を探りたいなら、その人に会うといいかもしれない」
セレスティアはリウスの提案に感謝しつつも、躊躇していた。王国に関わることが、自分にどんな危険をもたらすか分からないからだ。しかし、真実を知るためには避けては通れない道だと感じていた。
数日後、彼女はリウスの知人と出会う。
その知人、ベレルは、王国の元情報官だった。彼は王国の闇に通じており、国内で繰り広げられる権力争いや陰謀の真実を知る数少ない人物だった。
「セレスティア・デ・オルドレッド…君が追放された理由を知りたいということだな」
ベレルは低い声で話し始めた。彼の目は冷たく、何かを隠しているように見えたが、彼の知識には信頼が置けるとリウスは保証してくれた。
「君の追放は、単なる冤罪ではない。もっと深いものが背後に潜んでいる。君の家系が、王家にとって脅威となる存在だったのだ」
セレスティアは驚きに言葉を失った。彼女の家族は、王国に忠誠を誓う貴族の一員だと思っていたが、実際には王位継承権に絡む争いに巻き込まれていたのだという。彼女自身、知らないうちにその争いの中に組み込まれていたらしい。
ベレルの話を聞いたセレスティアは、怒りと悲しみを感じた。彼女が国外追放されたのは、個人的な罪ではなく、政治的な陰謀の結果だったのだ。家族や友人を守るために、彼女は無実の罪を背負わされ、国を追われることになったのだ。
「こんなことが許されていいの?」
セレスティアは静かに震えながら、内なる怒りを感じた。彼女はこれまでのように自分を守るだけではなく、真実を明らかにし、家族と自分の名誉を回復するために行動しなければならないという決意を固めた。
「ベレル、王国に戻って、この陰謀を暴く方法はあるの?」
ベレルは少し考え込んだ後、静かに答えた。
「方法はあるが、非常に危険だ。君が再び王国に足を踏み入れること自体、命を狙われるリスクが高い。しかし、それでも進む覚悟があるのなら、君に協力しよう」
セレスティアは頷いた。自分が背負った運命から逃げることはできない。彼女は王国へ戻り、真実を暴き、自分の名誉を取り戻すための戦いを決意した。
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