第28話

だからこそビビったっつーか、驚いたんだけど……。



まさか"あの"たっつんが?


って…。


先ほどよりもだいぶ軽くなったように思えた空気に笑いながら言うと、校内一の美女らしい出雲は俺の方を見ることなく小さく口を開いた。



「……佐原先生は、」


「…うん?」


「そういうこと、する人じゃないから。」



そういうこと……。

生徒に手出すって話か?



「……え?あぁ…、まあそんな風にはみえねえけど…」



俺の何気ないひと言に引っかかったらしい出雲は、眉間に皺を寄せながら全く俺を見ないまま話し続けていて。



「おに……佐原先生は、ずっと教師になるのが夢だったの。」


「……」


「生徒に寄り添った教師になりたいって……。ずっと努力してきた人なの」


「……」


「全然器用じゃないし、あんなんだから生徒に舐められてるけど…。でも他の先生に怒られても、自分が損しちゃうようなことでも…。生徒のためなら平気で無理しちゃう人なの」


「……」


「…だからっ、生徒に手出すとかそれありえないからっ」


「……」


「それだけは誤解しないであげて」

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