第87話

「…じゃあなんで急に?」



貸したシャープペンを握る男に聞く。



今までやった事ないなら、今更そんなところを気にすることも無いって話で…。




だったら別にやらなくてもいいって事なんじゃ?



つり目がちな切れ長の目がわたしに顔を向けると、いくつも耳に付いたピアスがキラリと光る。





「担任が…」



「……担任?」



「嫌いじゃねえんだよ」




担任が嫌いじゃない?




嫌いじゃないとどうなのかを考えていると、藍が少々面倒そうに話し始め。



「俺こんなんだし、教師に好かれるタイプじゃねえだろ?」



こんなんって言うのは、どうもその見た目の事らしく。



ある意味、『教師』という仕事に就くような人間は藍のようなタイプは少なく、どちらかと言えば真反対の『真面目』といえる人間がなるものであって…。




そう言った人間からすると、藍達のようなタイプはあまり好まれるものでは無いのかもしれず。

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