第78話

その紙を見ながら本気で驚いていると、息吹藍にそうだろ?と言うように言われる。



アタマが良いとか悪いとか、そうじゃなくて。



放心気味のわたしを他所に息吹藍が話し始める。



「すぐお前しかいねえと思ったんだよな」



わたししかいない?これを頼むのが?




いや、だからそういう事じゃなくて。



「俺の周りに勉強できるやつなんかいねーしよ」



確かに見た目だけで言うと勉強が得意そうな子はいなさそうだけど…。



そういう事でもなくて。



「だからタイミング見て家出てきてんだよな、んでもお前がここ寄ってなかったら危なかったよな。マジで無意味に待つとこだったぞ」



それもそうかもね、いつもは通り過ぎるし…。



だったら今日わたしがコンビニに寄ったのは偶然だったけど良かったってことで母親のおかげ…って、だから、本当、そうじゃなくて。



「これ、なに?」



「は?」



「だから、これ何なの?」



「はあ?何って数学の問題だろ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る