第70話
息吹藍に軽く手を振り返して、その道を通り過ぎる。
声をかけてきて手までを振る男は、だからと言ってわたしを呼びつけたりはしない。
気をつけて帰れとか、おやすみとか、おつかれとかそんな挨拶程度の言葉を投げかけてはきても、それ以上の会話はしてこない。
もしかしたら息吹藍が好印象なのは、こういう所なのかもしれない。
毎日のように声をかけてくる癖に、あっさりとしている。
決して無理に仲良くなりたがるわけではない。
それはとても上手い距離の掴み方だと思った。
入り込み過ぎず、でも、遠ざかるわけでもない。
計算でそれをやっているとも思えない男は、きっと自然に人の嫌なところを絶妙に避けている。
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