第41話

「…どちらへ?」



「俺の家。」



そう運転手と会話した横に座る息吹藍を横目で見ると、同じように向こうもわたしを見てきて。




「なんだよ、俺の事知らなかったのか?」



「え?」



「同じマンションっての。会ったことあんだろ」




まさか。知らないはずがない。



「いえ…。知ってます。そうじゃなくて、それ逆じゃないですか?」



「逆って?」



「わたしのこと覚えてなさそうだと思って…」



「はあ?」



そう言うと少々不機嫌そうな顔になり。



「何回も見てんだし普通覚えんだろ」



え……。




「何回も会ってます?」




わたしの記憶ではあのエレベーターの時の記憶しかなく…。



不思議に思い聞くと。



「会ったのは一回しかねえだろ?」



逆に聞き返され。

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