第11話

「それ、いいの?」



「それって?」



「だって…。なりたくないのに、医者目指すって…おかしくない?」



不思議に思って聞くと、薫くんは教科書を鞄から出しながら頷く。



「確かに、おかしい様な気もするけどあんまり深く考えたことないんだよな」




え?

考えたことないの?



それこそおかしい様な気がしていると。




「子供の頃から親にずっとそうやって言われてきたから、そうするもんだと思ってるっていうか…。なりたくてなるって言うか、そうなるものだと思い込まされてるって感じに近いんだよ」

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