豚人間の反撃

クライングフリーマン

豚人間の反撃

 それは、突然現れた。

 仙石諸島。そこには、『国際条約』を犯して、『通信機ブイ』が無数に並んでいた。

「ここのブイは俺のだから、取るなよ」と言わんばかりだった。

 政治家は、皆弱腰だった。

 どこから調達したのか、豚人間達は、小型潜水艇で現れ、ブイに乗り移った。

 豚人間達は、自爆した。ブヒー!!

 悲痛な叫びを耳にした、海上保安庁の船も海自の船も、船上で敬礼した。

 事の発端は、国会内での暗殺だった。

 関係各所の政治家達は、勇気ある国会議員が、勝手に設置して、日本の情報を流していると噂される『浮遊ゴミ』を撤去することを嫌がった。

 その国会議員に賛同する議員が多く、『水域浮遊ゴミ撤去』法案を作って、可決する寸前だった。

 いきなり、現れたヒットマンの若者に狙撃され、議員は即死した。

 ヒットマンは「乱入罪」で逮捕され、裁判にかけられることになったが、不起訴になる公算が強かった。

 那珂国に『お世話になっている』政治家達によって、『反対多数』で廃案になった。

 オールドメディアは、例によって、『加害者擁護』を始めた。勇気ある議員は、『稀代の悪者』になった。

 日本民族は絶望した。また、原因不明のビールスが流行出した。

 突然、豚人間に変身してしまうのである。

 顔が豚で「ブヒー!」と叫ぶ以外は人間で、彼らは変身すると姿を消してしまう。

「金儲けが好きな」政治家は枠朕作って打とうと言い出したが、誰も賛成しなかった。

「自分から」豚人間になろうなどという人間はいなかったのだ。

 また、DNAサンプルがないのだから、幾ら先進的な『コプリレン』枠朕といえども、精製不可能だった。

 世界は、それまで黙認していたが、海上保安庁が豚人間の死骸の欠片から『危険な通信機器』だと判明したからだった。

 何故、危険か?『超小型ICBM』が組み込まれていたからだった。

 政府が何故、沈黙していたか?謎は氷解した。

 国連は、那珂国を永久追放した。

 那珂国に『お世話になっている』国々に異論を挟む余地はなかった。

 海上保安庁、自衛隊、警察に潜んでいた豚人間は、普通の人間に戻った。

 時折、口癖になった「ブヒー!!」以外は、普通の人間だった。

 ―完―


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