異世界のんびり守護生活

ヒロさん

第1話 守護神になっちゃった。

(…………?)


目を開くと………あたり一面真っ暗で自分が水に流されてるような感覚があった。


(動きが鈍い……冷たい……水の中にいるみたいだ……)


体が冷たく、視界がゆらゆらとしていた。


(なんで俺ここにいるんだっけ?)


少し記憶を辿ってみる。するとある事を思い出した。


そうだった俺、死んだんだっけ? 水の感覚があるって事はここは三途の川って事か………


意識がまた朦朧として川の渦に飲み込まれそうになる。


(思えば短い人生だったなぁ………小さい頃見たネットミームを見て拳で抵抗することに憧れて21年かぁ………)


そんな事を考えてると一筋の光が見えた。


(なんだあれ……?)


あそこに何かある……?好奇心が抑えられない俺は三途の川を泳いでその光を掴もうとする。


(もう少し………もう少しで届く‼︎)


ある程度近くまで来るとその光が急にまばゆい光を放ち逆に吸い込まれそうになる。


(ヤベっ!もしかして近づいちゃダメなやつだった!?)


俺は必死に泳いで抵抗するが吸い込む力が強すぎてどうにもならない‼︎


(やだ!死にたくない‼︎……………あ、もう死んでるんだった)


冷静になって考えてみると俺は魂だから吸い込まれるわけもなく

ただまばゆい光がそこにあるだけだった。


(この光はなんなんだ?何があるかわかんないし戻るか………)


俺は向こうへ戻ろうとする。すると声が聞こえた。


『そこのお方………聞こえますか?』


(だ、誰だ!?)


『怖がらないで…………いま私にはあなたが必要なのです………』


まるで女神のような優しい声に誘われて俺は思わず光の方へ足を踏み入れてしまう。


辿り着いたのは草木が生い茂るとても美しく暖かい場所だった。


「さっきとはまるで大違いだ…………ここはあったかい……」


(でもなんだ……なんか懐かしい感じだ……)


「来てくれたのですね、」


「⁉︎」


ばっ!と後ろを振り向くとそこには美しい女性がいた。


「えーっと………どちら様で?」


「私は『セカイの女神』、この次元にあるセカイを管理する者よ。」


「は、はぁ………」


「今からあなたを転生させます。向こうの世界でも頑張っt……」


「ちょっと待ったあああああああああ‼︎」


「女神だかなんだか知らんけど勝手に話進めんなや‼︎」


「もう少し人の話を聞k………」


「た゛っ゛て゛こ゛と゛わ゛ら゛れ゛る゛た゛も゛ん゛‼︎」


 急に女神様が怒鳴り出して少しビビった。


「何回誘っても断られるしー!受け入れてくれてもすぐ転職するしー!もうヤダー‼︎」


地面に転がって駄々をこねる姿はまるで目の前におもちゃを欲しがる子供のようだった。


「め、女神さん落ち着いて………」


「あーまじダリィー……どーせ君も断りますとか言うんでしょーウケるー」


「よくあるギャルみたいになんなや」


「まぁ話聞きますから落ち着いてください……」


「ほんと!?」


俺は仕方なく話を聞くことにした。


「なるほど………つまりセカイを管理する守護神がいなくなってずっと1人で管理してたけどセカイが増えすぎて最近手に負えなくなってきた。って事か」


「そうなんです………だから偶然サンズノカワにいたあなたに声をかけてきたんですが………」


「でも守護神って大変そうだな……」


「そんな事ありません‼︎あなたはセカイを見守るだけでいいのです‼︎」


「えーでも見守るだけはつまんないしなぁ………」


「やっぱりダメですか………」


「あ、だったら女神様!自分のセカイで暮らしながらそのセカイを見守るのはどうでしょうか?」


「それでいいなら引き受けますが………」


「それでいいわ!決定‼︎」


判断早い人だなぁ………そう思い苦笑いした。


「あなたのセカイは最近できた一番新しいセカイにしましょう。」


「新しいセカイ?」


「数週間に生まれたセカイね、文明レベルは中世ヨーロッパぐらいかしら?」


中世ヨーロッパ………なんかワクワクする‼︎


「あなたにはある程度のステータスを持った肉体を授けます。向こうの世界で何をするのも自由です。」


「え!?まじで!よっしゃー‼︎」


「では向こうの世界でも頑張ってくださいね!」


 すると魔法陣が出現し異世界への扉が開かれた。


「女神様‼︎行ってきます‼︎」


「気をつけて‼︎」


俺は素敵な守護神スローライフを送るために魔法陣へ飛び込んだ‼︎


これが俺の、のんびり守護神生活の始まりである‼︎


「あら?間違えてステータスMAXにしちゃったわ……」


「まぁいっか!快く引き受けてくれたし‼︎」


………やっぱりこの先不安だ。


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