「うわー、すげぇ。

お前平気なのかよ。

よく触れるな。」


『昔は、苦手だったんだけどな。』



蝉川さんが亡くなってから、毎年夏に蝉に触る練習をしていたらすっかり慣れてしまった。


今ではむしろ好きと言っていい。



『蝉だって頑張って生きてんだから、そんな邪険にしてやるなよ。』


「お前ってそんなキャラだったっけ…?」


『うるせぇな…。』



上をふと見ると、蝉が飛んでいた。



周りからは声をかき消すほどの蝉の声。

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