第70話

「私、電車で帰らなきゃ駄目…だよね?」


ガクに肩を抱かれて歩く。



「帰らないで泊まって行くか?」


予想外の言葉だった。



「えっ…でも、週末だし集会に顔出さなきゃいけないんじゃないの?」


本当は側に居たいけど、ガクの立場も考えなくちゃいけない。



「純に代わりに顔出してもらうから大丈夫だ」



「ホント?ホントに良いの⁉︎


嬉しい!ありがとう」


私はまたガクの胸に顔を埋めた。



ガクは私のおでこに優しくキスをする。



「バイク移動するから、ホテルに行ってろ」


ガクが乗るバイクを見る。



「バイク、変えたの?」


見た事の無いバイクに乗っている。



「ああ、色々あって壊れた。


…壊された、が正解かな」


ガクは笑って言ったけど、私は笑えない。


"何で壊されたの?"とも聞けなかった。


きっと大変なんだと思う。



それでも、一緒にお泊まりしてくれるのが嬉しい。

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