時間という名の薬

第16話

父の大きな背中の

記憶が思い出そうにも

思い出せない


父の愛に包まれ

母の愛に包まれ

二つの手に

二人の温もり感じたい


父の顔覚えてないのに

あの日の私は

幼かったのに

あの事だけ

鮮明に覚えてるなんて


その事が傷になり

寂しくなって


母の愛を必要以上に

欲しがったかも

しれない


だけど

母が求めてたのも

優しさ

寂しい心

埋めてくれる

優しさだった


私は一人にされた


母は何処かに出掛け

家に男を連れ込み

女に戻り


狭い部屋の襖を伝う声

それを聞くのが

嫌だった


遠足、運動会

学校行事があるのに

家に戻らない母


私は一人にされた


寂しい時

いて欲しい時に


私は一人にされた


傷ついた

寂しかった


時間という名の薬が

いずれ私を癒やして

くれるのだろうか?


癒やされるまで

あとどのくらいの

時間がいや薬が

私には必要

なのだろうか?


By 小さな貝がら

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