第23話

 花雪の夜が始まった。


 静かな夜の中、村中が花雪で浄められていく。


 かすかに白く光る雪花が、村中を仄かに照らし、花を咲かせる。冷えた空気が銀色に震える。


 家の灯りは消され、窓際に雪色のランタンをともす。

 木と木の間に紐を渡して雪鈴を吊るす。


 雪鈴は花雪が当たるとかすかな音を出す。


 木琴に似た音だ。村中の鈴が鳴り、なつかしい曲を奏でた。


 奏でているのは、雪の妖精だといわれている。

村人が花雪の癒やしを受け取れるように、子守唄のように曲を聞かせてくれるのだと。


 花雪の夜、村人は雪を思いながら眠りにつく。


 あたたかいベッドの中で、雪の癒やしを受け取る。

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