雪至の夜の眠り

近江結衣

妖精の癒やしの花雪

第1話

 白い白い清らかな雪が、辺りを埋めつくすように降る……。


 ユアルーナは窓辺で目を閉じ、花雪が降りつもる様子を想像していた。


 雪が心を楽にしてくれるのを、ただひたすら待っている。


 ユアルーナの住む国は、雪の妖精に愛されている。

 おとぎの国のようだといわれ、ふしぎなことがよく起こる。

 年に一度、本当におとぎの世界のよう雪、……花の形をした花雪が降るのが、一番のふしぎだ。


 真っ白で、小さくてかわいい花の雪。

 夜になると降り始め、辺り一面を覆う。白い花の雪が咲き乱れる。


 窓際はとても寒かった。


 ユアルーナは雪羊の毛で編んだ暖かい肩かけを引き寄せて、体を覆う。

 窓の外に大きく大きく広がる森に、しんしんと降りつもる雪を想像する。


 腰までの長い髪。雪のような白い肌。

 優しい眼差しと微笑み。


 ユアルーナはそっと降りつもる雪のような、美しい少女だ。


 雪との縁が深いこの国で、雪姫と噂されている。


「まだ、花雪が降る時間じゃないよ」


 部屋の奥の暖炉の前にいるヤナが、声をかけてくる。彼は優しくユアルーナを見守るようにしている。


 幼なじみの彼は、いつも変わらない。いつも、ユアルーナと一緒にいてくれる。


 二年前。


 ユアルーナが罪を犯したあの後、みんながユアルーナから離れていった。


 だが、親友の彼だけは違った。

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