第34話

食事をすまし、クレスはミントを連れて、自分の家に行くことにした。

彼女はこの村の出身ではないから、寝るところが無いのだ。


「なぁ、クレス」

「ん?どうしたんだ、チェスター」


玄関まで二人を送った時、チェスターはクレスを呼び止めた。


「今日のマーボーカレーどうだった?」


その問いに、彼は不思議そうな顔をして首をかしげた。


「その…アミィと比べてよ」



なるほど、そういう事か。と、クレスは目を閉じた。


「う~~ん…。

いま一歩かな」


記憶を手繰るように目を閉じていたクレス。そして出た答えは遠慮の無い、正直なもの。


「クレスさん!?」


クレスの答えに、ミントは声を上げた。

しかし、チェスターはその逆で


「やっぱりか…」


と納得した様子。


「本当は、俺のマーボーカレーのほうが本元なんだけどよ。

…なにが足らないんだろうな?」


『……。』


「…っと、わりぃ。

引き止めちまったな。

クレス、ミント。じゃあ、また明日な」


心配するように見ている二人に気づき、チェスターは片手を上げた。


「ああ、また明日」


「チェスターさん、おやすみなさい」

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