第22話

「クレス、何作ってんのかなぁ~?」


食べることが好きなアーチェさん。

キッチンから聞こえる、野菜を切る音、包丁の刃がまな板にあたる音。テンポよく聞こえるそれらに耳を傾けながら、椅子に座って待っていた。


とんとんとん

とんとんとん


その音に合わせてアーチェは椅子を馬に乗るように座り直して、椅子を前後に揺らす。木馬のように。


「やっぱ寒いから、体があったまるものがいいなぁ~」


「そうだな…」


同じ部屋で待つクラースも。

本を読んでいたが、その音を聞いているうちに手がとまっていた。


しばらくすると、ジュウという音が鳴った。肉や野菜の焼ける匂いが部屋中に広がっていった。

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