第20話

「さて…」


宿に残ったメンバーは、買い出し組を見送ると、さっさと中に入ってしまった。


アーチェは早々に


『さむさむ~』と言いながらストーブに一直線。


『それでは、私は…』と言い、クラースはストーブから少し離れた位置にある椅子に腰を掛け、荷物の中から本を取り出した。


「……」


“みんなで準備しよう”と言おうとしたのに、二人は避けるように逃げた。


玄関に残されたクレス。


(アーチェはまぁ、いいとして)クラースさんは手伝ってくれたっていいと思うけどなぁ…。


内心思いながら、


「じゃあ、僕はキッチンに行ってるよ」


「ああ」


「あったまるもの、よろしくね~♪」


「……。」


そういう事だけはしっかり聞こえてるんだね。


ふぅと息をついてクレスは一人、キッチンへと向かった。

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