第46話

02:傍にいられれば、なんて。それだけでは満足すら出来なかった。



西園寺春人


椎名夏音


秋月蒼真


呉羽冬華


「ふむ…それぞれの名前に季節が入っているから“四季会”か。

悪くないな。」


「でしょ?!

こんな風に都合よく揃うなんて、運命的じゃない?」


春、夏…


「では会長は俺だな」


「はぁ!?

何でそうなるのよっ」


「季節の始まりは、春からだからだ」


二人のやり取りを俺は、ぼんやりと見ていた。

本来なら、俺もそっちに入るんだけど……


今は違うことを考えていたんだ。


「………秋…冬…」


「どうしたのソウマくん?」


横からの柔らかな声に、俺はドキリとした。


「い、いや…」


「ふふふっ」



慌てた態度を取る俺を、微笑みで返す彼女の名前は

『呉羽冬華』


俺はクレハに一目惚れしていたんだ。


けど。


「会長はアタシが適任よ!

キリヤ!アンタもそう思うでしょ?!」


『キリヤ』という単語にクレハは反応し、視線が移動する。


「いや…俺は別にどっちでもいいよ」


シーナに後ろ襟を掴まれながら、どうでもよさそうな返事をしている彼に。



傍にいられれば、なんて。

それだけでは満足すら出来なかった。



視線を送った意味も俺は欲しいと思ったんだ。

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