ウィンドDE『悲恋短文』
01~05(もしかしたら07)
第45話
01:あの時握り潰したのは、何だったのか。
☆
「…あの…先輩…」
少しでも見える景色を変えたいと思って、
分厚く古い書物に視線を落としている、大好きな先輩に声をかけてみたんです。
「どうした?」
読むのを中断し、少し離れた席に座っている少女に顔を向けた。
「あの…えと…
…なんでもないです…」
「?……そうか」
視線を再び書物に落とす。
私も視線を落とした。
“あの時握り潰したのは、何だったのか”
そんなの、私もわかっているの。
でも、それを言葉にしたら、先輩とこの距離が離れてしまうかもしれない。
本音を握り潰した私の中に、小さな何かが生まれた。
『アンタがやらないなら、私が言ってあげるわよ』
ニヤリと笑う、もう一人の……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます