第42話
09.いつも通り
☆
私はいつも通りだ。
少女は目を開いた。
「…ヒルダ、どうだ」
「はい。
身体、精神共に回復しています。問題はないと思います」
そこには見上げるように私を見ている二人の姿があった。そして、遠巻きに見ている男も一人。
「では、ゼクティ。
カオスゲートの封印に行くぞ」
彼の言葉に反応して、私の体は動きだす。
「…はい、陛下」
★
★
★
私はいつも通りだ。
だが、なぜだ?
「ゼクティ!」
陛下と対峙した、男は私の名前を呼んだ。
なぜ、こいつの声を聞くと私は揺らぐのだ?
私がこいつと会ったのは、この間が初めてのはず。
★
「ゼクティ」
★
「ゼクティ」
★
ぼやけた視界に、二つの姿。
「ゼクティ!…どうして…」
のぞきこむように、私を見ていた。
一つは陛下。
もう一つは…。
私は、一つわかったことがある。
今までの私は、物事を深く考える必要がなかった。
というより、私は自分の意志というものがなかった。
そこから解き放たれて、
物事を深く考えるようになって、
…キリヤ、あなたが気になっていた。
……キリヤ。
作られた私に“感情”をくれた人。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます