06~10
第18話
06.生きると死ぬと
☆
「ボクは…。
カイネル兄さんみたいな、強い力が欲しかったんだ」
元は人だったものが崩れ落ちる間際に言った。
(虫も殺せない、臆病なあなたが…)
魔力のこもったものを身につけ、人からかけ離れた体格、力を手に入れた。
(私に認めてほしくて…)
赤い絨毯に倒れた巨躯から黒い靄が溢れだし、元の姿に戻っていく。
「ガラハッド!!」
思わず叫び、駆け寄った。
「アイラ姉さん…」
抱き起こし、何度もその名前を呼ぶと、彼は弱々しく微笑んだ。
「私は……“力の強い人”が好きなんじゃない。
“優しい心をもつ人”が好き…………いつものあなたが好きだった」
溢れた涙が、ぱたぱたとガラハッドの頬に落ちて、流れた。
「アイラ姉さん……泣かないでよ。ボクは笑っている姉さんの顔が好きなんだ」
「ガラハッド…」
「…そうか、そうだったんだ。ボクはバカだな…」
あははと笑って、ガラハッドは瞳はゆっくり閉じていった。
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