第94話
そう───この相変わらずの悪趣味なアロハシャツを着た中年男は、俺に懸賞金をかけて殺し、保険金をぶんどろーとしてる、ゴルドーその人だった。
「………ボ…、ボス……」
ラビーンが顔面蒼白のまま言う。
クアンに至っちゃ声も出ねぇ様子だ。
まぁ、俺も人の事は言えねぇ。
その場にバカみてぇに突っ立ったまま、ただの一歩も動けてねぇんだからな。
真っ青な俺の前で、ラビーンとクアンがあせあせとしだす。
が、当のゴルドーは落ち着いたもんだ。
ラビーンとクアンを見やり、言う。
「この頃どーも姿を見ねぇと思ったら、んな所で油売ってたとはな。
てめぇらいつから冒険者に仕事斡旋する事業を起こしたんだ」
ピシャリと怒りの声でゴルドーが言うのに、クアンが ひぃん と情けねぇ声を出した。
「でっ、でもボス、これはいつもボスが言ってる人助けの一部なんです~」
「人助けだぁ?」
「そっ、そーなんっスよ!
このダルくんとリアちゃん姉弟が心配でですねぇ……」
ラビーンのバカが、わざわざ俺とダルを引き出して言う。
引き出された俺は、ライオンの前に出された野ウサギみてぇに固まったまま目の前のゴルドーを見ていた。
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