日常・災禍

第9話



この街で守られていた事も知らず、ぬるま湯に浸かっていた私は、本当にバカだった。




少しの油断が、命取りだったのに。




「ねぇ、聞いてる?」




ナンパ男が、私の顔を除き込んでくる。




「…、」




はっと、男に焦点を合わせればニヤニヤと笑みを浮かべていた。




…何?




怪訝に男を見上げていれば、いきなり強引に腕を引っ張られて立たされる。




「っっ、いっ!!」




あまりの強い痛みに、私の顔が歪んだ。

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