第3話


途切れる事のない人混みに目を細めて見つめる私の頬を、春風が撫でていく。




気持ち良さに、目を細める。




「……、このまま、」




この風が自分も浚ってくれれば良いのに。




願望を、言葉に乗せる。




聞く人は、誰もいないと知りながら。





「ねぇ、君1人?」



「…………。」




肩を叩かれて振り返れば、チャラそうな風貌の男が立っている。



見上げながら、私は首を傾げた。

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