第13話 変わり始める予感
愛は家庭での問題も
あったのだが、
職場でも転職を転々と
繰り返すように
どこに行っても
人間関係の悩みを
抱えていた
自分は『社会不適合者』
なんじゃあないのか?と
真剣に悩むぐらいまで
深刻に感じていた
この次の会社で
うまく行かなかったら
もう外で働くことが
向いていないので
家庭の中に収まろうと
覚悟を決めて
なので
今までとは違う雰囲気を
意識して
髪型、メイク等…
かなり工夫をほどこして
これが最後だからと
気合いれて就職した
愛はあまりにも
社会という環境の中で
イジメられたり
散々な目にあっているので
正直…
社会が怖かった
もともと、高校の時に
人間不信に
なったままなので
人の事を信じれない所が
いまだにある愛だった
そんな初日…
めちゃめちゃ
少年っぽそうな人が
『はじめまして』
『僕、宇宙(そら)って言います』
って声をかけて来てくれた
愛はなんだか
初めてあった
気がしない
可愛らしいひとだなぁ~
それが宇宙の第一印象だった
それからも
何か理由をつけては
愛のそばに来て
おしゃべりをしに
来ていた
クスクスクスっ…
なんと
人懐っこいひと
なんだろう?
あんなに職場恐怖症の
愛だったのに
宇宙がいるからなのか
寂しくなかった
そんなある日
愛の姑が急に
救急車で運ばれたと
連絡があって
急遽、早退しなくては
ならなくなった
それで
宇宙に相談して
仕事を頼んで
帰らせてもらった
次の日
宇宙が
『おはよう、
もうさ、昨日は
大変だったんだからね』
とかなり剣幕に
怒って言ってきた
愛は『すみませんでした』と
丁重に謝った
でも、宇宙はそれでは
許してくれなかった
その後も
何回もしつこく
『僕があれも
これもしたんだからね』
あ~ぁ。
『マジ、めんどくさい…。』
って心の声がつい
出てしまった
宇宙はその言葉を聞き逃さず
さらに文句を言ってきた
『迷惑かけたの
愛ちゃんの方だよ』
『それをめんどくさい…』は
失礼だよ
と怒っている宇宙の声を
感じながら…
――愛は脳裏でこんなことを
思っていた――
愛は母から4つ違いの妹と
喧嘩するのは
あなたが4つ下のレベルに
下がってるからって
言われ続けていたので
いつしか
人と口喧嘩が出来ない自分に
なっていた
そんな事をふと思い出した
なんか宇宙には
心の声が出るぐらい
素直な感情を出せる自分を
感じた
そういえば、夫の天斗にも
いつしか
こういう口喧嘩すら
出来ない関係に
なってしまってる事に
ふと気づいた
ふいに、、、
昔聞いた歌詞を思い出した
――退屈な毎日が
急に輝き出した――
『もう、愛ちゃん聞いてるの?
何か言ってよ。
ずっと黙ってるから
心配になるじゃん』
と宇宙は子供のように
叫んでいる
『ごめんごめん、
私が全部わるかったよ』
『もう二度と、頼まないから
安心して!』
と嫌味を込めて
愛はサラっと返した
その夜
久し振りに天斗に
自分の素直な気持ちを
ぶつけてみた
天斗は何?って
感じで
かなり不機嫌な顔で
いつもの愛らしくないね
と言ってきた
そう…
いつものわたしらしくない…
だけど
なんだか
物凄く
気もちがいい
いつから
愛は
こと分かりの良い
人間になって
しまったんだろう
天斗とは確かに
平和と言えば
そうだけど
自然というよりは
不自然さがベース
な気がした
私…
そんな毎日に退屈してたんだ…
宇宙との何気ない
口喧嘩の時間が
愛の奥底の心に
眠っていた
封印していた
色んな気持ちを
ノックしたのだ
天斗もまた
愛の変貌さに
不安を感じ始めていた
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます