第6話
(ああいう奴こそ学級委員とかやってくれればいいのに…)
皆の上に立てる能力を持ってるくせに、変に面倒臭がりで『我関せず』な所が余計に嫌いだ。
実琴は不意に我に返ると、小さく溜息を吐いた。
嫌いな奴のことをいつまでも考えていても仕方ない。
余計に不快になるだけだ。
気を取り直して。
(さて。今日は部活もないし、さっさと帰ろうっと)
何だか雲行きが怪しい。雨が降ってくるかも知れない。
(にわか雨の可能性があるとかって天気予報で言ってたっけ)
一応折りたたみ傘は鞄に入ってはいるが、早く帰った方が良さそうだ。
実琴は僅かに足を早めると、校門へと向かった。
その時。
(…あれ…?)
何かが聞こえた気がして、不意に足を止める。
先程から僅かに風が吹き始め、ザワザワと揺れる木々の中、思わぬ声を聞いたような気がした。
門へと続く広い並木道の片側は、公園のように沢山の木々が植えられている。
(こっちの方から聞こえてきたような…)
実琴は、誘われるようにその木々の方へと足を向けた。
「~~~」
(あ…また…)
間違いない。こちらから聞こえてくる。
それはまるで、小さな子猫の鳴き声のような…。
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