第24話
『アオが公園へ来なくなってハルカ、すげー落ち込んでたよな。自分がきらわれるようなことしちゃったんだって、お前は自分を責めてたけど、それは違うよ。アイツが公園へ来なくなったのは、オレのせいなんだ。』
『アイツはアイツなりに色々悩んで病気のオレに気を使ったのかも知れないけどさ、そんな同情みたいなの、うれしくなんかないっての。それでハルカと会えなくなるなんて本末転倒ってヤツだよ。自分だってハルカのこと大好きなくせにさ。だから、そんなアイツに負けたくなくて「オレがハルカをおよめさんにする」って言ったんだ。』
「…………」
何だか、とんでもない暴露話が書かれているのではないか?
遥は目をぱちくりさせた。
そこには、そのことが原因でユウと蒼が後に
『でも、結局アオはやさしいからさ。ケンカっていうケンカにはならなかった。オレがあおるばっかりでさ。オレ的には「アオは両想いなくせに!」ってのが強くてくやしかったのを覚えてるよ。アイツはハルカの気持ちに気付いてないから仕方ないんだけどな。でも、くやしいから教えてやらないんだ。』
(ユウくん……)
この手紙は数年前に書かれたものだから当然なのだが、未だ子どもらしさが残っている……ユウくんらしい文だなぁと思った。
何より、ユウくんと蒼くんの仲の良さがその文面から伝わってきて……。
(
あの頃。三人で毎日遊んでいた頃の二人の姿がそのまま目に浮かぶようだった。
『でもさ、オレ……アオのことも大切だし、ハルカのことも大切なんだ。大切な二人がこのままオレのせいで、はなればなれになっちゃうのはイヤだ。でも、アオにどれだけ言ってもすなおに言うことなんか聞かないし。だから、この手紙を書くことにしたんだ。(我ながら名案だぜ!)』
その文章の後に『ニヤリ』と笑った顔が小さく描いてある。
(でも、名案って……どういう意味……?)
そう思ったところで、次に続く言葉に目を通した遥は小さく息を
『この手紙を今ハルカが読んでるってことは、アオに会えたんだろ?』
(まさか……。その為に……?)
その後に続いている文面に目を通しながらも、遥は徐々に溢れる涙に視界をにじませた。
ユウくんは凄い。
自分がどんなに辛い闘病生活を送っていようとも、それを微塵にも出さず。泣き言も言わず。
出会った頃のユウくんと変わらず、明るいままで。
私と蒼くんの心配なんかをして……。
とうとう堪えきれずに零れだした涙に。
泣いているのに気付いた蒼が、心配気に声を掛けてくる。
「大丈夫か?遥……」
遥はハンカチを瞼に当てながら、こくこくと頷いた。
こうして蒼くんが隣にいてくれるなんて、この七年間からしたら本当に奇跡みたいなものだ。
もう、こんな状態になんて戻れないと思っていたのだ。
目を合わせることはおろか、会話することさえないものと思っていたのだから。
でも、こうして蒼くんは傍にいてくれている。
それは……。
(ユウくんのお陰だね……)
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