後編

第18話

ニブル山を四人で歩く。


何度来ても、この山不気味だよなー。って、アタシは思う。


草一つ育ってないし、つり橋は揺れるし、あんまし近づきたくない。

魔晄炉があるからついてくけどさ。


「――ねぇ、ユフィ?」


横から声をかけてきたのは、もちろんエアリス。


エアリスもこの山の姿に不安そうな感じだけど、足取りは楽しそうに見えるんだけど。


「なに?」


エアリスの呼びかけにユフィは答え振り返ると、やっぱり笑っていた。


「ユフィ、ヴィンセントの事どう思う?」


なんて、はしゃいだ声を出している。


「どう思うってべつに?」


それに対してアタシは、べつに、なんてちょっと嘘をついていた。


本当は気になるんだ。


吸い込まれてしまいそうな赤い目とか。顔もそこそこイケてるし。


って、何思ってるんだ。アタシ?


「…?

どうしたの」


黙っているユフィを不思議に思ったエアリスは、彼女の顔を覗き見た。


「いっ?!」


それに気づいたユフィは、慌てて後ろに飛んだ。


「あ」

「おい」

「…」


飛んだ先の位置が悪かった。

道の広くない山道で、着地した場所は半分崖。


気づいた時はもう遅い。


「い…っ」


バランスを保てなかったユフィは、そのまま落ちてしまった。


「い――やぁぁぁぁ~!」

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