うたう勇者亭(作成中)

前編

第37話

「何?私に、だと…?」



それは突然の話だった。


背もたれのついた木の椅子に、足と腕を組んで座っている、銀色の髪を持つ人間の少女。


少し不機嫌そうな目を話を持ってきた相手に向けた。


「そうだ。

ブランネージュ、お前がピッタリだそうだ」


「……団長…」



★★★★★


団長と呼ばれた彼は、狼の姿をしているが、人間のように二足で歩く、獣狼人と呼ばれる種族である。


洗った食器をキュキュと音を立てて拭いているが、団長と呼ぶのには理由がある。


「独立傭兵騎士団ヴァイスリッター」という、暮らしているここ…シルディアを守ることもしている。


戦いのない日は、こうして酒場のダンナをしているわけだ。


★★★★★


彼女の視線をカウンター越しから感じた獣狼人は皿を拭くのをやめて振り返る。





「依頼人は、前に御忍びでシルディアに来たんだと。

その時、お前を見つけてピン☆ときたらしい」


「……私は…」


正直気乗りしない。断る。と言おうとした時だ。

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