春x風

卒業式・前編

第2話

◆蒼真編◆




リーベリアにいたときもよく、この光風館に出入りはしていたが、元々あった場所にあると感じ方も違うもんだな。


一歩一歩木の板で張られた床を踏みしめて歩く、銀髪の学生。


ふだんから好きなのか、シャツのボタンを上三つ外した状態でネクタイを緩く絞めていた。


館の二階、生徒会室と書かれた部屋のドアを開ける。


「よ!」


「…!

ソウマ!」


「ソウマじゃない!」


「ソウマくん!…久しぶり。来てくれたのね」


「ああ、久しぶりだな」



数日前、風の知らせがあったんだ。



“ソウマ…もうすぐ卒業式があるんだよ。

トライハルトとヒルダも呼んで一緒に帰ってこいよ”



その時、俺はリーベリアで戦ってる最中だったんだけど、俺が元々いた世界――エルデに戻ってきた。


聖ルミナス学園。


同級生の面々。


リーベリアとはまた違う空気。……久しぶりで、懐かしい。


「けど納得いかないわ!」

と椎名。


「どうして?」

と、その隣にいた呉羽が訊ねる。

「なんで卒業できたのか、って事よ」


ジロリと蒼真の顔を見ながら言う。


「なんでって、そりゃ…」


俺が知りたいくらいだよ、と言いたいところだけど…。

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