第2話

二人、真の家に帰る。


琴:おじゃまします。

真:今日お母さん帰るの遅いって。

琴:じゃあ二人きりだね。

真:いつもそんな感じじゃない?


二人、真の部屋に入り、クッションに座る。


琴:続き読む前にちょっと話していい?

真:うん。

琴:今朝大学行くか分からないって言ってたでしょ?大学によっては視覚障害者用の試験があるとかって知ってる?

真:知ってるけど、未だに普段の生活も琴がいなきゃ出来ないくらいだから、やっぱり受験は大変かなって思ってる。

琴:真は受験するならどこ受けたいの?

真:まだ自分のレベルが分からないからなんとも。

琴:C大学はどうかな?

真:C大?

琴:事前申請したら点字で受験出来るみたいだよ。

真:うーん…。

琴:真からしたら偏差値低いかもしれないけど、ここなら生活にも馴れながら受験勉強出来るんじゃないかな?

真:偏差値はそんなに気にしてないんだけどね、ちょっと遠くない?電車通学も馴れれば大丈夫だとは思うんだけど、遠いのは…少し怖いかな。大学の近くに引越すってわけにもいかないだろうし。

琴:じゃあ一緒に住もうよ。

真:え?

琴:私もC大志望なんだ。一緒にC大の近くに家借りようよ。

真:だめだよ。今でも琴に頼り過ぎてるのに、そんなことはさすがに出来ないよ。それに、琴の両親だって男と一緒に住むのなんて許さないよ。

琴:卒業したらルームシェアしたいってお母さんに話したら、「いいんじゃない?」って言ってたよ。

真:相手が僕だって伝えた?

琴:うん。

真:本当?

琴:ほんと。

真:でもやっぱり僕と二人は琴の負担が大きいよ。琴に迷惑かけたりはしたくない。

琴:真といて迷惑なんて感じたこと無いよ。今も朝起こしたり本読んだりしてるけど、全部私がしたくてしてるんだよ。真が気にすることなんて何も無いよ。

真:でも…、うちの親は反対すると思う。最近も琴に頼り過ぎてるの心配してるみたいだし。

琴:説得が必要なら私がするから。真はどう思うの?私と二人で暮らすのは嫌?

真:それは、…嫌じゃないよ。

琴:それじゃあ、お母さん帰って来たら受験の話だけでもしてみて。

真:…うん、そうする。

琴:よし、そろそろ本読もっか。


琴、2時間程朗読を続けると、真の母、帰って来る。


琴:私もう帰らないと。

真:そっか。読んでくれてありがとう。

琴:どういたしまして。お母さんに話してみてね。

真:うん。じゃあまた明日。

琴:またね。

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